K's Backyard

オーストラリアの田舎町での動物とのふれあい日記

歌の上手なマグパイ

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ちょうど教会のパイプオルガンのような不思議が音を出して鳴く鳥、Australian Magpie.  カラスより体は小さめで(Size: 36-44cm)、家の庭でも毎日みかけます。10羽ぐらいのグループで行動して、なんかどこかとぼけていて、面白い鳥です。地面の中にいるみみずとか、虫の幼虫などをくちばしでほじくって食べているのをよく見ます。人間が近づいてもなかなか逃げない普段はけっこう人懐っこい鳥ですが、春、10月ぐらいに繁殖シーズンを迎えると、性格が一転し、巣の近くを歩いている人間に攻撃をしてきて、私たちを悩ませます。

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まだ学生だったころ、大学のある岡の上から坂道を一気に下って帰る途中で、そばを歩いていた他の学生たちが私の方を向いて笑っているのに気付きました。下を見ると、頭にかぶった私のヘルメットの陰の横を飛んでいる鳥の陰が見えました。(オーストラリアでは自転車に乗る時はヘルメット装着が法的に義務になっています。)そうです、マグパイが自転車に乗っている私を、追いかけていたのです。同じスピードで。そのまま必死にこいで何とか逃げ切りましたが、怖い思いをしました。大学へ行く途中の道にはずらりと街路樹があって、その木の上にマグパイが毎年巣を作るんです。

自転車に乗ってヘルメットを着けていても、ヘルメットにあいた穴めがけてくちばしでつついて、頭を傷つけることもあるんです。中にはひどくやられて血を出す人も。マグパイが近づかな用にように自転車のヘルメットにストローのような飾りをいくつも付けている人もいるぐらい。

マグパイの巣立ちした若い幼鳥は全体に白っぽい色をして、親鳥に餌をせがむ時にはものずごい大声で鳴きます。耳障りですが、むじゃきでとてもかわいいです。

 

日常の風景

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この鳥はCrested pigeon (Size: 31-36 cm)という鳩。日本の公園や駅でよくみかける鳩と違って、名前の由来にもなっている角のようなぴょんととんがった羽根が頭の上についているのが特徴。毎朝、近所の電線に団体で止まっていて、私が餌台に餌を入れるのを待っています。そして...

f:id:Wattlebird:20160515081932j:plainどっと飛んで来て、餌を食べ始めますが、この写真のように押し合いへし合い、餌の奪い合いになります。弱い鳩は強い鳩に押しだされてしまうので、仕方なく地面に降りてこぼれた餌を拾います。すさまじくてにぎやかです。家の庭ではたぶん、雀よりこの鳥の数の方が多いのではないかと思います。でも、よく見るとなかなかきれいな鳥だと思いません?

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この雀と一緒に映っているのも鳩の一種で、上のCrested piegoenよりやや小さめのSpotted dove (Size: 30-33cm) 。いつも6羽ぐらいの小さなグループで餌を食べに来ます。こちらの鳩は野生なので、日本の公共の場にいる鳩に比べ、人間に慣れていないせいか、とても臆病で人が近づくとすぐに逃げてしまいます。でも反対に、オーストラリアの雀は日本の雀に比べてもっとおっとりしています。日本だと雀は米を食べるので、昔からpestとして嫌われて、追っ払われているけれど、アーミデール周辺では牧畜業しかしてませんから、問題になりません。雀も鳩もそれぞれの国によって性格が違うのが面白いですね。

けなげな母鳥(托卵)

この全然似てない2羽の鳥、どんな関係があると思いますか。

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実は親子なんです。左が親鳥で右が幼鳥。子供はまだとても幼いのにもう親の2倍ぐらいはあるかな。ここ数年、毎年あることなんですが、子育て上手なRed wattlebirdの巣に、Koelというカッコーの一種の鳥が自分の卵を生むんです。そうすると、その孵化して出て来たカッコーの子供がワトルバードの卵や子供を巣から落としてしまうんですって。残酷!それを知らないワトルバードはカッコーの子供を自分の子だと思って、一生懸命に餌を与えて育てるんです。そういうのを『托卵』といいます。左の鳥は私の大好きな愛嬌たっぷりのプリンセス・ワトルで、毎年だいたい6羽のひなを育てます。子育てが上手でまた、いつも子供にいっぱい餌をあげようとあちこち飛び回って集める、とても献身的な母鳥なんです。

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なにせ体が大きい子供ですから、よく食べること。プリンセス・ワトルは家の餌台に来ては、餌をとって与えます。あげてもすぐに、「もっとくれ」コールして、うるさく鳴いてせがむので、大忙しです。やがて、すぐに自分で餌を食べられるようになると、どこかへ行ってしまうみたいで姿が見えなくなります。

下の写真がKoelの雌。他人に子育てしてもらって、自分は悠々自適に過ごしているんですから、こんな楽なことありませんよね。それにしてもそうとは知らずに一生懸命のワトちゃん、ちょっとかわいそうだと思いません?

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ひょうきん者 カッカトゥー

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この鳥はSulphur-crested Cockatooという鳥で、やはり体長が48-55cmで大きな白いオウム。地元の人にはカッカトゥーと呼ばれています。家に庭にはたまに小さなグループでやってきます。Black Cockattoよりも体長は短いですが、体はがっちり、ぼってりしています。「ギャーギャー」というとても大きな耳障りな声で鳴き、遠くからでもよく聞こえます。地面に落ちたクルミを拾って、足で持って大きくて頑丈なくちばしで割りながら、むしゃむしゃと食べま す。クルミの殻はとても固くて、リトルコレラのルールーさんにあげていた時には、必ず半分に割ってからあげないと食べられないほどのしろものです。それを簡単に食べられるのですから、相当くちばしの力があるのでしょう。リトルコレラの2倍の大きさなので納得ですね。動作もゆっくりで、2本の足を交互に出して歩くときに頭の冠のような黄色い羽根が左右前後に揺れて優雅です。ワトちゃん(Red Wattlebird)が背後から攻撃して、頭をかすめて飛んでいって冠を乱されても動じることなく、「今のはなんだべ?」というような顔をするだけで、餌 を食べ続けます。その姿にいつも大笑いです。なんかいつもユーモアと愛嬌があって、私の大のお気に入りの鳥です。

大型のオウム ブラック・カッカトゥー

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この鳥はYellow-tailed Black-Cockatooという鳥で体長は56-65cm。家の庭にやってくる鳥の中で一番大型のオウムです。いつも5,6羽ぐらいの小さなグループで行動しています。大きいので飛ぶ時も翼をゆっくり動かして、とてもダイナミックです。体は意外と細身で軽いようなので、大きくても楽にふわふわと飛べるのでしょう。庭にあるPine treeにつく青い松の実をくちばしでちぎって取って、足で持ちながらむしゃむしゃと中にある種を食べています。普段は甲高い声を出して鳴きますが、面白い習性があります。それは、グループにかならず一羽見張り役がいて、他の鳥が餌を食べている間ずっと、警戒音のような普段と違う声を出して鳴き続けることです。見張りはその間、食べてないみたいだけど、お腹空かないのかな?

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威風堂々 クッカバラ

下の写真よく見て。右と左、どっちが本物?

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そう、左側が本物のLaughing Kookaburra (ワライカワセミ)で、右側がセメント製。庭のあちこちに動物のornament(飾り)を置いているけれど、たまたま同じ鳥の近くに本物がしかもペアで反対側の杭の上に止まってました。とっても珍しい写真が撮れました。(でも、ちょっとピンぼけで残念!)

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この写真のように、クッカバラはよく木の枝や洗濯の物干のワイヤーに止まって、じっとしています。ブッチャーバードのように肉食ですが、体が数倍も大きいので(Size: 40-48cm) トカゲやカエルなどの他に、結構大きい蛇などもつかまえるようです。家の庭に来るクッカバラは、よく木の枝や物干から地面に降りて、なにか小さなものを捕まえているようです。名前のとおり、鳴くとまさに大笑いしているような声を出します。とてもどっしり落ち着いていて、他の鳥が近くに来ても、じっと動きません。王者のような風格です。初めてオーストラリアに来た時、毎朝この鳥のけたたましい笑い声を聞いて、目がばっちり覚めました!

グランパ物語(思い出)

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この鳥は野生のGalahだけど、小柄で濃いピンクをしたきれいで目立つ鳥でした。去年の冬の終わりの寒い日に庭で他のガラーといっしょに餌を食べているのを発見。でも、とっても弱々しくて、他のガラーにいじめられて餌も満足に食べられない状態でした。そこで、家のベランダに餌をまいたら、他のガラーは警戒して寄ってこなかったけど、この鳥は寄って来て、食べるようになりました。食べると日だまりで昼寝をし、起きてはまた食べるということを繰り返していました。動作が緩慢でよたよたしているので、Grandpa(おじいちゃん)と名付けました。なんかとっても面白い鳥なので、お隣の仲良しのLさんもすっかり大ファンになりました。ベランダの椅子にプランターをひっかけて、グランパ専用の餌入れを作ると、早速中に入って夢中になって餌を食べていました。3、4週間ぐらい毎日家で餌を 食べるうちに、体力がついたのか、いつのまにか来なくなってしまいました。Lさんとはきっと元気になって、彼女でも作って楽しく自然で暮らしているのだろ うと話していました。

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それから4週間ぐらいして、春の初めにまた家に戻ってきましたが、また弱々しく動作の緩慢な元のグランパに戻っていました。羽根も薄汚れてぼさぼさでした。餌をあげると、なぜかくちばしが異常に伸びてちょうどはさみの刃が交差するようになっていて、上手に食べることができなくなっていました。そのため、前より体力が大分落ちたようでした。何日かして大雨が降ると、栄養状態が悪いグランパの羽根は雨をはじかないので、ずぶ濡れになってしまい、ベランダの屋根の上でじっと寒さを耐えていました。本当は屋根の下の雨の落ちてこないところに移動させてあげたかったけれど、野生なので人間が触ろうとすると逃げてしまうという恐れから、見てるしかありませんでした。しばらくして雨が止むと屋根から飛び降りましたが、羽根が雨を吸って重くなって上手に飛べず、地面に落ちてしまいました。するとそれを放っておけないと判断した元看護婦のLさんが、そっと後ろから近づいて、自分のショールをグランパにぱっとかけて、捕まえて保護しました。それから、異常に伸びたくちばしをなんとかしてもらおうと、WIRESという野生動物保護団体専属で無料で保護された野生動物を診察・治療してくれる獣医へ連れていきました。すると、くちばしは切って元通りにしてくれるが、また野生に戻すか、人間が飼うしかないと言われました。でも、くちばしはいずれまたすぐに伸びてしまって、餌が食べられなくなるということでした。Lさんにも熱心に頼まれて、私が面倒みようかなと迷っている時に、WIRESの人にグランパの様子を話して意見を聞くと、恐らくはくちばしが異常にのびる病気にかかっていて、それは鳥や人間にもうつる恐れがあるということを言われました。それを聞くと、Lさんも納得したようでした。二人にとって悲しい選択となったのですが、結局獣医さんに安楽死させてもらうことになりました。今でも引き取って飼ってあげたら、もう少し命が長らえてよかったのかなと後悔することもあります。でも、それまでにずっと野生だったグランパを小屋に閉じ込めてしまうというのはいくら病気といえどもストレスを与えてしまうことになっただろうということと、家に遊びにくる他の健康な野鳥たちに病気が移ってしまったかもしれないことを思うと、やはりその選択肢がベストではなかったかと思います。本当に残念な結果になってしまいましたが、天国で思う存分餌を食べて、自由に羽ばたいていることを祈っています。短い間でしたけど、よい思い出をありがとう、グランパ。

肉食系の鳥 ブッチャーバード

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これはGrey Butcherbird (Size 28-32 cm)と呼ばれている鳥のメス。その名のとおり、肉食系の鳥でくちばしの先がかぎ針のように曲がっているのが特徴。そのくちばしで小さなトカゲや蛙をはじめ、虫などを捕って食べます。ちょっと笑っているようにも聞こえる、けたたましい声で鳴きます。Red wattlebirdのように結構、人懐っこくって、近づいてもあまり逃げません。とっても好奇心が旺盛で、面白い鳥です。2、3年ぐらい前にちょっと試しにピザ用の刻んだチーズをあげたら、とっても気に入っておねだりして毎朝来るようになりました。(生のひき肉も好んで食べるようです。)でも、まもなくワトちゃんがハラスメント攻撃を始めると、来なくなってしまいました。ところが、去年の暮れぐらいから、家の庭にまた出没するようになりました。今回はワトちゃんが縄張りにしているのとは反対側の場所に夫婦で巣作りをして、子供を育てていたみたいで、庭に一歩足入れると、どこからともなく飛んで来て、頭をかすめていくようになりました。耳元で鳥の羽ばたく音が聞こえるんですよ。思わずぞっとさせられました。子供を守るために必死に威嚇してきたんです。なのでその間の6週間ぐらいはそちらの方へ行く時は、つばの広い帽子をかぶって、黙っていると威嚇されてしまうので、歌をうたうか、大声でブッチャーバードに話しかけながら歩いていたんですよ。

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こちらはオスのブッチャーバード。よく見ると、結構、ハンサムで愛嬌のある顔をしてますこと。

追記:ブッチャーバードについてちょっと調べたら、小さな鳥とかも食べるんだって。なんでも、木の枝に捕った獲物をつる下げて食べるとか。そんなに獰猛だとは知りませんでしたよ。びっくりぽんですわ。

珍しいお客さん

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写真の右側の鳥は長い正式名がありますが、地元の人がGreen parrotと呼んでいる小型のオウム。めったに家にやって来ませんけど、いつも10羽ほどの団体で行動しています。草むらによくいて、草の色とあまり見分けがつきませんけど、よく見るととってもきれいなグリーンに青、雄だと写真の鳥のように背中にオレンジが入っていて、とってもすてき。私のお気に入りの鳥です。

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この鳥はKing parrotと言って、体長が40-45cmあり、上の写真のGalahより大柄な鳥ですが、家にはめったにやってきません。いつも雌雄のペアで行動している鳥です。

 

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我が家の庭から外へ出てみました。アーミデールの街の秋の風景です。例年になく厳しい残暑の続き、私の大の苦手なmozzies ('mosquitoes' [蚊] のOZ slang) に長いこと悩まされましたが、やっと涼しく秋らしくなりました。街路樹の紅葉が鮮やかです。

カラフルな訪問者 ロゼラ

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上の写真の鳥はEastern Rosellaというオウムで、体長は30センチぐらい。(因にRainbow Lorikeet = 30cm, Red Wattlebird = 33-37cm , Little Corrella = 35-40cm, Galah = 35cm。)ガラーやリトル・コレラのように団体で行動することはなく、写真のように雌雄のカップルか、6−8羽ぐらいの小さなグループで行動しているようです。

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この写真で餌台にいるのが赤と青が鮮やかなCrimson Rosellaのペア。大きさはEasern Rosella と同じで、単体のペアか小さなグループで飛んでいます。これらのロゼラは普段は滅多に私の庭に来ませんが、冬になるとよく餌を求めてきます。ロゼラはとても警戒心が強いので、人が近づくとすぐに逃げてしまします。この餌台は裏に生えている高さ10メートルぐらいのユーカリの木からよく見えるのか、見つけるとワトちゃん(私が付けたRed Wattlebirdのあだ名)がグライダーのようにそこから飛んできて、まっしぐらでロゼラを攻撃しますから、家にあまり姿を見せないのはしょうがないですね。ワトちゃんのハラスメントの被害者なんです。かわいそうに。

ロゼラも含めてオウム系の鳥は市販のトウモロコシやひまわりの種、麦などが入ったものを食べますが、その餌に因んだ面白いエピソードがあります。リトル・コレラのルールーさんを飼っていた時に、小屋の床にmulchといって、砂糖を採った後に残ったサトウキビの茎を細かく刻んだ園芸用の藁を敷いていました。その藁を3ヶ月に一度、入れ替えて古いのを庭の天体望遠鏡小屋の隣にまとめて捨てていました。そうしたら、何ヶ月か経ってから、春から夏にかけて、そこからひまわり、大麦、とうもろこし、きびなどがぐんぐん伸びてきたではありませんか。藁に混じっていたルールーの餌が自然に育ってしまったんです。ひまわりはやがて大きな黄色い花をたくさん咲かせて、とってもきれいでした。大麦とトウモロコシは穂のまま、それに枯れたヒマワリの花から収穫した種をルールーさんにあげ、きびは穂のままインコにあげたら、みんな大喜びで食べてましたよ!思わぬ収穫に「びっくりぽん」でしたわ。