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K's Backyard

オーストラリアの田舎町での動物とのふれあい日記

醜い鳥の物語(思い出)

9年前のある日。庭を歩いていると、足下に何か動くものが落ちていました。よく見ると毛の生えていない鳥のあかちゃんでした。高い松の木の上の鳥の巣から落ちたようでした。WIRESという野鳥保護団体に電話したら、巣に戻してあげるのが一番だと言われ、戻そうとしましたが、巣がとっても高いところにあったので、仕方なくアイスクリームのプラスチック容器にティッシュペーパーを敷いて、そこに入れて巣に一番近い枝にくくりつけて様子をみました。ところが、親鳥の姿は数時間たっても全くなく、また雨も降り出したので、家の中に入れて育てることになりました。なんせ、どんな鳥なのか、何を食べるのかわかりませんでしたので、取りあえずペットショップへ行って、幼鳥用の練りえさを買って来て、あげました。そうすると、顔の幅と同じぐらいの大きい口を開けて、ちょうだい!ってよく食べること。あっという間に羽根がはえ揃い下の写真のようになりました。

 

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地味な色目ですけど、ふわふわの羽根に覆われてとっても愛らしいでしょ?名前はアクション映画の主人公に因んでBourneとつけました。男の鳥のような気がしたのです。(後で雌鳥ということが分かりましたけど、名前はそのまま使っていました。)

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これがその後、やや大きくなった頃。私を親鳥だと思って、どこへ行っても後を追うようになりました。そして、眠くなると私の首と髪の毛の間に入り込み、首にぴたっと寄り添って寝ました。すると、ふわふわの羽根と体温がぽかぽかと感じられて、母性本能がくすぐられましたわ。

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私の机の上が大好きで、コンピュータに乗ったり、リボンやふせんでよく遊んでいました。上の写真はちょっといたずらして全身にふせんをくっつけてみたところです。「どうしちゃったんだべ?」という顔をしています。大笑いでした!よく食べ、よく遊び、日ごとに大きくなっていきました。そしてショックなことが...

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成長するにつれ、顔がだんだん長くなり、なんと頭の上にふさふさと生えていた羽根がどんどん後退していくのです。どんどん醜くなっていきました。そして、大人になった頃、とうとうこんな姿に...

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とんがった口につるんとはげた顔や頭、そして鼻の穴の上にぼっこりした突起ができました。目も赤く、不気味です。それでも面白いことに眉毛があって、後頭部には中国の弁髪を思わせる羽根がちょこんと残っています。(この頃、ボーンのことを『眉毛鳥』と呼ぶようになりました。)耳の穴も丸見えです。赤ちゃんの時の可愛い顔はいったいどこへ行ってしまったのでせう?トホホ...

この時になって、ボーンがNoisy FriarbirdというHoneyeaterの一種の鳥だったことが分かりました。頭が羽根で覆われていないので、別名Leather head とも言われています。Red wattlebirdと同じぐらいの大きさ(体長30-35cm)で、先端がブラシ状になった舌先で花の蜜をとって食べたり、昆虫を食べたりしますが、家ではずっと練り餌と水(お湯)で割ったはちみつをあげていました。(肩に止まるとよく長いくちばしを私の耳の穴に入れてきて、舌を出してゴソゴソとなめてきました。耳の穴が蜜をたっぷり含んだ花の芯とでも思ったのでしょうか。される度に、ぞっとして鳥肌が立ってしまいました。)その他、レタスがとても好きで、あげるとそれを口にくわえてひらひらさせながら飛んで、高い棚の上に持っていって、バシバシと叩き付けながら小さくして食べていました。(たぶん、昆虫もそのように叩き付けて食べるのでしょう。)はえが網戸につくと、飛んでいってあっという間に捕獲して食べていました。音楽をかけてボーンの前で踊るといっしょになって、踊ってくれました。こわれたラッパのような不思議な声をだして鳴きました。いたずら大好きで、陽気で、面白いことをたくさんしてくれ、大いに笑わせてもらいました!

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でも、とってもなついていたボーンともお別れの日が突然やってきました。飼い始めてから1年とちょっとしたある日、家の中でかごの外に出て遊んでいるときに、うっかりと開けたドアからすっと外へ出て行ってしまい、呼んでも戻ってきませんでした。後でWIRESの人に聞いたら、ボーンのように幼鳥から育てられた野鳥は大人になったら自然に帰してあげるのが一番なんだそう。特に同じ種の鳥がいるそばで放してあげるとすぐにそのグループに入って一緒に行動するようになるそうです。実は夏の間、ボーンのかごを外へだした時に、鳴き声に引き寄せられたNoisy Friarbirdのグループがよくそばに来て、興味深そうに声をかけていました。ボーンもそれがとても気に入っていて、仲間が来るたびに嬉しそうにはしゃいでいました。後でこの時にボーンを自然に帰してあげればよかったのにと後悔しました。

Noisy FriarbirdはRed wattlebirdと違って、寒冷なアーミデールには春、夏、秋の間だけいて、寒い冬になるともっとあたたかい場所へ移るようです。ボーンが逃げたのが秋本番の頃(四月)ですから、仲間にうまく出会えて、冬は一緒に仲間と暖かいところに行ってほしいと願っていました。短い間でしたが、ボーンと一緒に暮らせてとっても楽しかったです。